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人工衛星の軌道計算(2行軌道要素形式とエフェメリス)

人工衛星の軌道計算とエフェメリス

人工衛星の軌道計算をするにあたり、重要な考え方が2行軌道要素形式とエフェメリスです。

今回は2行軌道要素形式とエフェメリを解説していきます。

人工衛星の軌道計算

人工衛星の軌道の概要は軌道半径で表されるようです。起動半径 r と角速度 ω は以下の関係にあるようです。

r3 = g・R2 / ω2

重力加速度 g は、g = 9.80665 m/s2
地球の赤道半径 R は、R = 6378137 m

静止衛星は地球の自転と同じ速さで回る必要があり、比較的遠い軌道を回ることになります。
1日で一周するのは ω = 2・π / (24・60・60) と考えれば r = 42,253.112km と計算されます。
地上から見て静止しているためには、赤道上空にあって、地球の自転と方向に進んでいなければなりません。
また、地球の自転周期は、約23時間56分4.06秒です。
3075m/s ぐらいの速さで進んでいることになります。

GPS衛星は、当初24個の衛星で、地表の同じ点で常に4つのGPS衛星の電波が受信可能なように設計されたようです。
単純には1つの衛星は6時間程度見えていることになります。したがって、GPS衛星も比較的遠いところを回っています。  GPS衛星の周期は11時間58分02秒です。

r = 26,569.300km と計算されます。3875m/s ぐらいの速さです。

これは概要で、実際の衛星は、地心を中心に真円を描いているのではありません。

  1. 地心は準拠楕円体の自転軸と赤道面の交点ですが、質量の中心とは限らないものと思います。
  2. 地表での重力方向は一点を指さないものと思いますが、人工衛星についても同様だと思います。
  3. 人工衛星軌道も楕円で近似され、地球は焦点の1つとみます。

大きく誇張して言うと、衛星軌道は楕円のようなイメージで捉えられています。
地球は衛星軌道の焦点の一方の位置にあり、衛星の位置は近地点との角度で表されます。
公転面は、地球の赤道面となす角と、交線の方向で表されます。

2行軌道要素形式

  アルマナックはGPSを調べて知りましたが、衛星軌道情報は伝統的に「2行軌道要素形式(Two-Line Element Sets)」で提供されてきました。

パンチカード2枚1組でデータを入力していたことから来ているようです。カードにカラム固定で数字を並べた形式です。
現在は、24桁の衛星名の行を先行させた3行で1組です。

元期は軌道要素がいつの時点のものかを示します。
2行軌道要素の元期の例は、14228.82639742 のような14桁の文字列です。
最初の2桁は 2014年を示します。
続く12桁は年初からの日数です。

例は228日と 0.82639742 日を示します。 228日目は8月16日です。0.82639742日は、一日の秒数を乗じて、
0.82639742 ・.86400 = 71400.737088 (秒)
で、19時間50分と解釈できます。

アルマナックの場合は、1999年8月22日を起点とした週の数(week)と、その週初からの経過秒数(Time of Applicability)で元期が示されます。
2行軌道要素の例と同じ元期は、 781 週と 589824秒と表されます。
781 週の週初は、2014年8月10日です。

経過秒数は、589824 = 6・86400 + 19*3600 + 50・60 + 24 で、週初から6日と19時間50分24秒であることが分かります。

 アルマナックのSQRT(A) のような軌道半径の直接的な表記がありません。これは平均運動から計算されるようです。
平均運動 N は、衛星が日に何回昇交点を通過するかを示す値のようです。1日は24時間です。
1秒間の角速度 n は、
n = 2πN / 24時間 = (2π / 86400)・N
長半径 a と n は、n = √(GM / a3)の関係にあります。

地心重力定数 GM は、GM = 3.986005e+14 です。
(2π / 86400)2 ・N2 = GM / a3
a3 =  (GM / (2π / 86400)2 )・(1 / N2 )= 7.5371227345e+22 / N2
a = 42241097.73 / N2/3

  アルマナックでは、公転面(軌道面)と赤道面の交線の方向を、Right Ascen at Week で示します。

2行軌道要素は昇交点の赤経で示します。

前者は経度と説明され、後者は赤経です。
衛星軌道を示す目的では赤経は妥当です。

赤経のゼロ度は天球の春分点で、地球の自転によって移動するものではありません。

経度を使って天球の決まった方向を表すと、時間の関数になります。

アルマナックは、Right Ascen at Week (R)と 「地球の自転速度」(rE)の2つの値を使って時間の関数として表しているのです。

Ω(t) = R  + rE・t
1つの値で示す方が優れています

が、地表の場所と関連付ける必要があるなら大差はないことになります。

2行軌道要素は赤経で与えられるので、経度との換算に関する情報は含まれません。
この情報はグリニッジ平均恒星時を計算することで解決されます。

グリニッジ恒星時がゼロと言うことは、赤経のゼロと、経度のゼロが一致していることを示し、天球と地球のXYZ直交座標が重なることです。

恒星時は2つの座標系のZ軸の回りの回転量を表すことになります。

エフェメリス

エフェメリス(Ephemeris)は、GPS衛星が送信している、自衛星の、より正確な位置情報です。

エフェメリスはGPS衛星のメッセージの2サブフレームの情報です。

サブフレームは300ビットで、30ビット/ワードで扱われるようです。
ワードの有効なビット数は24のようです。サブフレームの最初の2ワードはテリメトリ・ワード(TLM)、ハンドオーバ・ワード(HOW)に決められているので、エフェメリス情報は16ワード、384ビットの情報と言うことになります。
含まれる数値情報は32ビットで格納されており、ワードを跨いで格納されているようです。
左表の順に項目が割り当てられ、19項目、364ビットが使用されているようです。

しかし、実際のエフェメリスの受信データを見る方法は分からないので、JAXAのサイトで配布されているファイルを見るよりありません。

このファイルは、GPS衛星32個全ての分を格納しています。1つの衛星(PRN-22)の分は下図です。
7個の有効桁の短い数値と、29個の有効桁の長い数値から成り立っています。

  最初の22はGPS衛星番号で PRN-22 のデータであることを表しています。
続く6つのデータは日時を表しています。(20)14年8月17日23時59分44.0秒です。
この エフェメリスの元期です。
この情報は2つのサブフレームには含まれていない情報です。

 日時に続く数値は、順に p1 から番号を付けて指し示すことにします。

p12 =  8.638400000000E+04 は、86384 で Toe だと思います。
p11 = 5.153723068237E+03 は、√A で、軌道の長半径は 26560861.5 m です。
p9 = 7.382828858681E-03 は、離心率 e で、短半径は 26560137.6 m と言うことになります。

最後に

今回は軌道計算の中でも頻出のエフェメリスを取り上げました。

思ったよりも難しくないですね。

最後までご覧いただき有難うございました。